介護タクシーの二種免許、一発試験なら約4万円で取れる — 教習所との差額20万円以上の実体験
介護タクシーの二種免許、一発試験なら約4万円で取れる — 教習所との差額20万円以上の実体験
二種免許は、教習所に通わなくても取れます。運転免許試験場での直接受験——いわゆる「一発試験」なら、一発合格した場合の費用は現行で総額約4万円(40,100円)、期間は約2ヶ月です(2026年6月11日時点の警視庁公表額にもとづく)。教習所に通うと25〜40万円程度が相場と言われるので(教習所・時期により幅があります)、差額は20万円以上になります。
私自身もこのルートで、学科・技能とも各1回、約2ヶ月で普通二種免許を取得しました。書いているのは、元消防士・救急救命士として10年以上の現場経験を持ち、現在は関東で介護タクシーを営む現役事業者です。介護タクシーは二種免許がないと許可が下りないため、開業準備の最初の関門がこの免許でした。この記事では、申し込みから免許交付までの全工程を、つまずいた点と対策込みでそのまま書きます。
結論サマリー
現行の費用(2026年6月11日確認・警視庁公表額)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 受験料 | 4,500円 |
| 試験車使用料 | 2,950円 |
| 免許証交付料 | 2,350円 |
| 試験関係 計 | 9,800円 |
| 取得時講習受講料(全部受講) | 30,300円 |
| 一発合格時の総額 | 40,100円 |
※不合格になった場合は、その都度、受験料と試験車使用料がかかります。
筆者の体験時の実費(参考)
| 項目 | 実績 |
|---|---|
| 取得ルート | 運転免許試験場での直接受験(一発試験) |
| 費用合計 | 29,500円 |
| ├ 事務手数料 | 4,900円 |
| ├ 試験車両使用料 | 2,950円 |
| ├ 取得時講習 | 19,200円(応急救護処置講習の免除を受け、旅客車講習のみ受講した実費) |
| └ 免許交付料 | 2,450円 |
| 期間 | 学科試験から免許取得まで約2ヶ月 |
| 受験回数 | 学科1回・技能(場内+路上)1回 — 全工程一発合格 |
※筆者の体験時と現行とで受験料・交付料の金額が異なるのは、令和7年3月24日のマイナ免許証一体化に伴う手数料改定があったためです。また筆者の取得時講習19,200円は救急救命士資格による応急救護免除の特例価格で、一般の方は全部受講(30,300円)になります。
なぜ一発試験を選んだか
二種免許の取り方は、大きく分けて、教習所に通って取得するルートと、運転免許試験場で直接受験する「一発試験」ルートがあります(警視庁も直接受験者向けの案内ページを公開しています。記事末尾の参照リンク参照)。
私が一発試験を選んだ理由は単純で、時間も予算もかけたくなかったからです。開業準備中は出ていくお金ばかりで、25〜40万円程度かかる教習費用は重い。一方で私には消防士として10年以上、緊急車両を運転してきた経験があり、運転そのものへの不安は比較的小さい状態でした。
ここは正直に書きますが、運転経験の浅い方が同じ選択をすると遠回りになる可能性があります。一発試験の技能試験は「何度も落ちるのが当たり前」と言われる試験です。自分の運転歴と相談して選んでください。
学科試験 — 隙間時間の勉強だけで1回合格
試験場は府中運転免許試験場を利用しました。申し込み日に適性試験と学科試験を受験でき、結果は即日判明します。
当時の私は家事・育児と仕事に追われ、まとまった勉強時間がほとんど取れませんでした。やったことは3つだけです。
ここがポイント: 学科対策は「本1冊+過去問3周+アプリ」
- 市販の二種免許対策本を1回通読
- 本に付属の過去問を3回ずつ解く
- 二種免許試験用のスマホアプリで、移動中などの隙間時間に問題を解く
まとまった時間が取れなくても、この組み合わせで学科は1回で合格できました。
最大の壁は「技能試験の予約が取れない」こと
学科に受かると、帰る前に技能試験の予約をします。ここで想定外の壁にぶつかりました。技能試験は1日に数人しか受験できず、予約は1ヶ月以上先まで埋まっていたのです。
介護タクシーは二種免許がないと許可申請が進められません。一日でも早く開業したい身には、この待ち時間がメンタル的にきつい。しかも技能試験は何度も落ちるのが当たり前の試験です。仮に2ヶ月に1回しか受験できないペースだと、数回落ちただけで半年が簡単に過ぎてしまう構造になっています。
そこで使ったのが、キャンセル待ちです。
ここがポイント: 技能試験はキャンセル待ちを電話で拾う
予約にキャンセルが出ることがあると聞き、翌日から1日1回、試験場に電話してキャンセル状況を確認しました。結果、幸運にも学科合格から2週間後の枠に滑り込めました。座って待っていたら1ヶ月以上先だった試験が、毎日の電話1本で大幅に前倒しできたことになります。
技能試験の対策 — YouTube・ブログ・現地確認
技能試験までの2週間でやった対策は3つです。
- YouTubeで二種免許技能試験の内容と対策を確認する
- 一発試験で取得した人のブログを読み込んで消化する
- 試験場付近の道路を現地確認する(道幅の狭い箇所や一方通行のチェック)
ブログに書かれていたコースに沿って実際に走行もしましたが、本番のコースは違いました。コースの丸暗記より、「この辺りの道はこういう癖がある」という土地勘づくりとして役立った、というのが実感です。
場内試験当日 — 受験生3名、前の人の運転から学ぶ
当日は教室に集合し、申込書を記載して、使用する車両番号が指定されます。受験生は私を含めて3名でした。
私の順番は2番目。前の受験生の運転を後部座席から見られたのは幸運でした。その方は複数回の切り返しや脱輪などの減点で不合格。脱輪は後部座席ではわずかな振動に感じる程度でしたが、明確に不合格と告げられていました。「あの程度のミスでも落ちる」と直前に体感できたのは大きかったです。
自分の番では大きな失点はなし。ただし方向変換も鋭角コースも想像より狭く感じ、普段より安全側に倒した運転を心がけました。
路上試験 — 安全確認は「声に出して見せる」
場内の次は路上試験です。試験官の運転で試験コースのある多摩霊園エリアへ移動し、そこで運転を交代しました。
私が徹底したのは、乗車前から安全確認を声に出すことです。ミラーの確認も、巻き込み確認も、行動の一つひとつを声に出して「いま何をしているか」を試験官に見せるように運転しました。黙ってやった確認は、伝わらなければやっていないのと同じだからです。
路上で特に気を使ったのは、制限速度・一時停止・自転車・停車車両・歩行者・Uターンです。
ここがポイント: 自転車とUターンは「待てるか」が試される
- 自転車の側方通過には安全距離が必要です。センターラインが黄色の実線だと、追越しのために反対車線へはみ出せないため、事実上追い越せない場面がありました(黄色実線は「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」の道路標示。道路交通法第17条第5項第4号は、道路標識等によりはみ出しが禁止されている場合の右側部分へのはみ出しを認めていません)。焦って間隔を詰めるより、待つ方が安全です
- Uターンでは、対向車との安全距離が確保できるタイミングがなかなか来ませんでした。試験官から「早くUターンしろ」と促されましたが、確実に安全になるまで実行しませんでした。それでも合格しています。促されても安全側を貫いてよい、というのが私の結論です。
運転時間は20〜30分。途中で次の受験生と交代しました。その方は一時停止の不停止、自転車の側方通過、バス停横での停車など減点が重なり不合格。結果的にこの日の3名で合格したのは私だけでした。
試験場に戻って降車すると、すぐに合否が告げられます。私はフィードバックなしの即合格で、「取得時講習を自分で予約するように」と案内されました。
取得時講習 — 救急救命士は応急救護が免除で1日・19,200円
技能試験に受かっても、まだ免許はもらえません。自動車学校で「取得時講習」を受ける必要があります(道路交通法第90条の2第1項)。私は東急自動車学校で受講しました。
通常は旅客車講習と応急救護処置講習のセットで2日間・受講料30,300円(全部受講の場合・警視庁公表額)ですが、私は救急救命士の資格を持っているため応急救護処置講習が免除され、旅客車講習のみの1日講習・19,200円で済みました。
この免除は法令上の制度です。取得時講習の免除対象者は道路交通法施行令第33条の5の3に定められており、応急救護処置については医師のほか、「応急救護処置に関し医師である者に準ずる能力を有する者を定める規則」(平成6年国家公安委員会規則第2号)で歯科医師・保健師・助産師・看護師・准看護師・救急救命士、消防法施行令上の救急隊員、日本赤十字社救急法指導員などが指定されています。該当する資格をお持ちの方は、講習の予約時に必ず申告してください。
講習の内容は、路上運転と教官からのアドバイス、校舎でのシミュレーター運転、ミーティング。難しいことはなく、正直楽しかったです(シミュレーターでは少し酔いましたが)。
修了証明書を持って再び試験場で手続きをし、二種免許を取得。学科試験が3月末、免許取得が5月下旬。トータル約2ヶ月でした。
まとめ — 一発試験を再現するためのアドバイス
- 学科は「対策本1冊の通読+付属過去問3周+スマホアプリ」の組み合わせで、隙間時間だけでも1回合格は狙える
- 技能試験の予約は1ヶ月以上先まで埋まっていることがある。毎日1回、試験場にキャンセル確認の電話をかける価値は大きい
- 試験対策はYouTube+一発取得者のブログ+試験場周辺の現地確認。コースの丸暗記より土地勘づくりとして使う
- 場内コースは想像より狭い。普段より安全側に倒した運転を
- 安全確認は声に出して試験官に見せる。乗車前から始める
- 試験官に急かされても、安全が確保できるまで動かない。仮に減点されていたとしても、不合格にはならなかった(私の場合)
- 運転経験が浅い人には一発試験は遠回りになり得る。自分の運転歴と相談して選ぶ
注意書き
- 本記事は筆者個人の体験(府中運転免許試験場での受験)にもとづくものです。試験の運用・コース・予約状況は試験場や時期により異なります
- 「筆者の体験時の実費」と「現行額」は金額が異なります。令和7年3月24日のマイナ免許証一体化に伴う手数料改定があったためです。制度や金額は今後も変わる可能性があるため、最新情報は必ず警視庁・各都道府県警察の公式サイトでご確認ください
- 教習所の費用相場(25〜40万円程度)は複数の業界情報源にもとづく一般的な目安であり、教習所・地域・時期により幅があります
- 一次情報の参照リンクと確認日(いずれも2026年6月11日確認):
- 警視庁「大型二種・中型二種・普通二種免許試験(直接試験場で受験される方)」(2025年10月1日更新) — 現行手数料(受験料4,500円・試験車使用料2,950円・免許証交付料2,350円)、取得時講習受講料30,300円、再試験時の費用: https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/menkyo/menkyo/annai/nishu/tetsuzuki13.html
- e-Gov法令検索 — 道路交通法第17条第5項第4号(右側部分はみ出し通行の制限)、道路交通法第90条の2第1項(取得時講習)、道路交通法施行令第33条の5の3(講習を受ける必要がない者)、応急救護処置に関し医師である者に準ずる能力を有する者を定める規則(平成6年国家公安委員会規則第2号): https://laws.e-gov.go.jp/
次に読む
二種免許が取れたら、次の関門は許可申請です。実は「個人で介護タクシーを開業する流れ」を示した公式の手引きは存在しません。どの書類を読めばいいのかから解説します。
→ 記事2「『個人向けの手引き』は存在しない — 介護タクシー許可申請でまず読むべき書類の探し方」(準備中)