帳簿と記録の義務
介護タクシーで最初につける3つの記録 — 点呼・日常点検・運行の記録を紙でやってみて分かったこと
監査のことを知って、私は腹をくくりました。面倒でも、記録を一つずつ整えていくしかない。では、そもそも何を用意すればいいのか。まずはそこから調べ始めました。
調べてみると、残すべき記録には、いくつか種類がありました。その中で、まず日々つけていくことになるのが、点呼の記録、日常点検の記録、そして運行の記録。この3つでした。
書いているのは、関東で介護タクシーを営む現役の個人事業主です。
自分が、自分に点呼する
最初に戸惑ったのは、点呼でした。
点呼というのは本来、運行を管理する人が、運転する人に対して行うものです。でも、私は一人です。運行を管理するのも私なら、運転するのも私。つまり、自分が自分に点呼をして、それを記録することになる。
正直、おかしな感じがしました。一人しかいないのに、確認する側とされる側を、自分で行き来する。でも、これは決められたやり方なのだから、仕方がない。そう受け入れました。
ただ、次に引っかかったのは、では紙にどう書けばいいのか、ということです。実施する人と受ける人の欄を作って、それぞれに印を押せばいいのか。いや、きっとこういうものには、細かいルールがあるはずだ。そう思って調べると、やはり、記録すべき項目はきちんと決められていました。点呼だけでなく、点検も、運行の記録も、それぞれに。思いつきで書けばいいものではなかったのです。
レ点と、印刷と、書き忘れ
項目が決まっているなら、それに沿って用紙を作り、印刷して、埋めていくしかありません。私はそうやって、紙での記録を始めました。
やってみると、これがとにかく面倒でした。
日常点検は、確認する項目が多い。一つひとつにレ点を入れて、最後に名前を書く。毎日のことです。うっかり書き忘れた日があると、あとでまとめて埋めることになり、それがまた気が重い。月が変われば、また用紙を刷り直す。一度「面倒だ」と感じてしまうと、その面倒は、日が経つほどに重くなっていきました。
運行の記録も、そのときそのときで書いていかないと、あとから思い出して書こうとしても、訳が分からなくなる。かといって、走るたびに丁寧に書き留めるのは、手が止まる。
そして何より、これだけ手間をかけても、売上が増えるわけではない。誰かに褒められるわけでもない。義務だから、やる。その一心だけで続けるには、あまりに地味で、あまりに面倒な作業でした。
「したこと」と、「記録の残し方」は別
義務なのだから、しっかりやらなければ。始めた頃は、そう思っていました。でも、面倒な作業ほど、時間とともに、やる気は削られていきます。これはもう、このやり方では続かない。私は、そう感じ始めていました。
そのとき、ふと思い出したのです。前職では、こういう記録を、システムに入力していた。手書きではなく、決まった画面に打ち込んで、残していた。あの形なら、この面倒の多くは消えるのではないか。
考えてみれば、大事なのは、点呼をしたこと、点検をしたこと、走った記録を残したこと——その事実のほうです。記録という行為そのものに意味があるのであって、それを紙の上で苦しみながら残すか、もっと楽な形で残すかは、本来、自分で決めていいことのはずでした。そこに、決まった縛りはない。
やらなければならないことは、変えられない。でも、そのやり方は、工夫していい。私は、自分にとって続けられる記録の残し方を、自分で探してみることにしました。
まずは、この3点から
これから記録を始める人にとって、最初の入口になるのが、この点呼・日常点検・運行の3つだと思います。どれも、日々の運行に直結する、基本の記録です。
正直に言えば、私も、最初から気持ちよく続けられたわけではありません。面倒だと思いながら、それでも、残さないわけにはいかないから続けてきました。ただ、その「続け方」は、自分に合った形を探していい。そこだけは、始める前の私に伝えたいことです。
次は、窓口で「受けなくていい」と言われたのに、実は必要だった「適性診断」のことを書いていきます。
※この記事は私自身の体験を記したものです。記録すべき項目や様式の正確な内容は、管轄の運輸支局や国土交通省の公式情報でご確認ください。